【い】

痛みの悪循環

人間の体内にはたくさんの神経があり、その中の一つに自律神経があります。自律神経は内臓、血管などの働きをコントロールして体内の環境を整える神経で、私たちの意思とは関係なく独立して働いています。この自律神経には、緊張していたり、怒ったり、泣いたりした時に優位に働く交感神経と、リラックスしている時や温泉などに入ってのんびりしたときに優位に働く副交感神経があって、健康なときにはこの2つはバランスよく働いています。
ところが、何かの原因で腰などの身体部分が痛くなると、そこを支配している神経の領域では交感神経の方が優位に働きます。その部位は怒ったような、興奮したような状態になっていますから、血管はぎゅっとなってしまい、血液の循環が悪くなって筋肉に酸素がいかなくなり「痛み」として感じます。お風呂に入って温めて血液の循環をよくすると一時的には改善しますが、痛みを起こしている根本的な原因がとれないと、それがまた脳に働いて交感神経を刺激します。交感神経の刺激がさらに交感神経を刺激するという悪循環が起こるのです。これが「痛みの悪循環」です。

医療証

医療証とは医療の受給資格を持っていることを証明すると同時に、医療機関が助成相当額を行政などに請求するための証明書です。医療証には福祉医療証、高齢者医療証、障害者医療証などいろいろな種類があり、どの医療証を得ることができるかはそれぞれの方の年齢や仕事、障害や疾病などによって違います。

【う】

運動療法

適度な運動は心臓や肺、筋肉の機能を強化するほか、肥満の改善、血糖値や血圧を下げるなど、主に生活習慣病(高血圧・動脈硬化・虚血性心疾患・糖尿病・高脂血症等)の予防・治療に効果があるとされています。たとえば、歩くだけでも新陳代謝は良くなり、身体が癒やされ、こころが解放されるといった効果が見られるのです。
ただし、重い心臓病、腎臓病、関節障害、重症の糖尿病・高血圧などの場合や、発熱、睡眠不足、二日酔いなど、体調が不良の時に運動をすることは危険なだけでなく、害になることもあるので注意が必要です。

【え】

MRI

MRI(磁気共鳴画像法)とは磁場と電波を用いて体内などの輪切り画像を撮影し、画像化する検査装置です。放射線を使わないので安全性が高く、造影剤を使わずに血液やリンパ液などの流れが画像化できるため副作用がありません。エックス線撮影とは違いMRIでは骨が写らないため脊椎や脊髄、軟骨などがきれいに撮れるといった特徴があります。

【お】

音楽療法

音楽には、自己表現、情緒の解放、他者との交流などを通して、心とからだを癒やしたり元気づけたりするなど、さまざまなことを促す力があります。そこで、歌ったり、音楽を聴いたり、楽器を鳴らしたり、さらには創作や舞踊をするなど、身体やこころを適度に刺激して調和させ、生活を豊かにしていくために音楽を活用する方法が音楽療法です。

【か】

介護

心身に障害などを負ったために日常生活に支障がある方を介抱し、世話をすること。介護と看護は似ていますが、介護はあくまでも日常生活への支援です。医師のもとで医療活動も行えるスタッフが看護師です。

介護士

介護士は、介護福祉士をはじめとした、介護の専門家の総称です。なかでも国家資格である介護福祉士は、高齢者や障害者などの日常的な行為への介護や、家族に対する相談や指導などを行い、病院、高齢者施設、障害者施設、さらには在宅での介護の現場でも活躍する重要な職業になってきました。
介護福祉士になるには、3年以上の介護関係の実務経験後、あるいは、定められた学校の過程を卒業後、国家資格を取得する必要があります。

介護認定

介護保険のサービスを利用するには、市町村などで介護が必要な状態なのか、あるいは介護が必要な状態になるおそれがあるかということを認定してもらうことが必要です。前者を「要介護認定」、後者を「要支援認定」といいます。認定は市町村などの窓口に「要介護認定」の申請をし、介護認定調査員が居宅を訪問して作成した調査書と主治医からの意見書をふまえて判定されます。
要介護認定を受けた方は、それぞれの身体の状況によって、細かく「要介護1」から「要介護5」までの5つの区分に分類されています。たとえば「要介護1」は、「排泄や食事は、ほとんど自分でできるが、掃除等の身の回りの世話に見守りや手助けが必要な状態」の方です。「要介護5」は「掃除等の身の回りの世話や立ち上がりなどの複雑な動作、移動動作、食事、排泄が自分でできない状態。また問題行動や理解力の低下がみられる状態」の方となっています。
介護度が上がる(より介護が必要になる)と支給限度額が高くなり、より多くのサービスを利用することができます。

介護老人福祉施設

介護老人福祉施設は特別養護老人ホーム(特養)とも呼ばれ、要介護度1〜5に認定された高齢者の中でも、在宅での介護が難しい65歳以上の方が比較的低価格で利用できる施設です。自宅への復帰を念頭に置いた日常生活の世話、機能訓練、健康管理などを行っています。介護保険が適用されるため、施設サービス費は原則1割負担になりますし、居住費(滞在費)も他の施設よりも低料金になっていますが、居住費、食費、日常生活費は介護保険対象外となり自己負担になります。

介護老人保健施設

通称「老健(ろうけん)」と言われる介護老人保健施設は、要介護度1〜5の認定を受けた65歳以上の方で、入院での治療の必要はないものの、身体の機能の回復や保持のためのリハビリテーションを必要とする人のための施設です。
病院での治療が終わっても多少の障害が残り、そのまま自宅に帰って生活するには本人も家族も不安が残る場合に、3〜6ヵ月程度の入所によって、自立機能の改善のための訓練や、介護方法・介護用品の使い方についてなどの支援が行われます。病院から在宅へのかけ橋となるという意味で、「中間施設」とも呼ばれています。介護老人保健施設は介護老人福祉施設と同じように介護保険が適用される介護保険施設です。

カウンセリング

心理学や臨床心理学を基盤として特別な訓練を受けた専門家が、患者さまの話を聞き、言葉を用いて心理的な問題や悩みについて援助する方法です。カウンセリングは本人の悩みに対してアドバイスをするのではなく、本人自身の中にある問題を解決するカギを見いだしていくお手伝いをしています。

管理栄養士・栄養士

栄養士とは、都道府県知事の免許を受けて、地域住民、学校、病院や社会福祉施設などに勤めている人々などの健康保持・増進のために、栄養バランスのとれた献立をつくったり、栄養指導をする人のことです。
管理栄養士は栄養士の免許を取得した上で管理栄養士国家試験に合格した人です。高い専門知識と技術をもって病院で病気の人への栄養の指導、学校や福祉施設、企業や工場のような特定多数の人に対して食事を供給する施設などの給食の管理や指導などを行います。

【き】

機能訓練

事故や病気、高齢化などによって歩くことが困難になり、立ったり座ったりすることができなくなる、寝返りができなくなるなどの身体の機能が低下した方が、少しでも自力で日常生活ができるように本人の運動機能などの保持や向上のため、さらには健康の維持や増進のために行う運動プログラムです。専用の器具を使った運動や簡単な体操、レクリエーションを通じて身体を動かすなど、いろいろな方法があります。

【け】

ケアマネジャー(介護支援専門員)

要支援または要介護と認定された方が、適切な介護サービスを受けられるように介護サービス計画(ケアプラン)を作成する専門家をケアマネジャーといいます。介護保険制度を受けるために必要な要介護認定の申請の代行業務や居宅を訪問しての調査報告書の作成、ケアプランの作成、介護保険の給付管理までと、介護全体に関わっています。

健康保険証(健康保険被保険者証)

一般に「健康保険証」「保険証」と呼ばれますが、正式には健康保険被保険者証といいます。健康保険に加入していることを示す身分証明書のことで、病気やけがの治療のために病院に行く時に、健康保険証を病院の窓口に提示すれば、自己負担分のみで診察が受けられます。

【こ】

コメディカル

薬剤師、歯科衛生士、臨床心理士、理学療法士、作業療法士など、医師・看護師以外の医療従事者を総称して「コメディカル」といいます。かつては医師を中心にして、他の医療スタッフは医師に従って治療を行うという関係でしたが、近年はそれぞれの医療スタッフは対等な立場でチームとして協力して医療に従事することが重要であると認識されたことで、コメディカルが広く用いられています。

【さ】

作業療法

こころの障害によって生活に支障のある方に対して、その症状を見ながらプログラムを組み、スポーツ、音楽、レクリエーション、手工芸、軽作業などの活動を行うことを作業療法といいます。
作業療法には気分転換、ストレスの発散、情緒の安定を促すなどの効果があるため、病状の安定を図ったり、回復の促進につながります。また、定期的な参加によって生活リズムを整える、人との関わりを持つことが苦手な方が人間関係を築くきっかけの場となるといった目的もあります。さらに、こうした活動を通して患者さまの興味や自信をひき起こしたり、自分に合う作業を見つけることで社会復帰に向けた能力の獲得にもなります。

作業療法士

障害者が自立できるように、日常活動のいろいろな動作、あるいは手芸、工作など仕事や遊びなど生活全般に関わる活動を、医師の指示に基づいて行う専門家のことです。精神科では特に、気分転換や欲求充足を行い情動の安定化やまとまりのない行動を調整したり、規則正しい生活のための援助、他者との交流の場の創造、健康の促進などがその目的になります。
作業療法士はOT(Occupational Therapist)とも呼ばれ、国家試験に合格する必要があります。

【し】

支援相談員

支援相談員は介護老人保健施設における指導、相談援助業務などを行います。施設によって仕事の内容は異なりますが、入退所の手続きや家族からの相談、お年寄り一人ひとりの援助ブログラムの作成、実行などを行っています。ちなみに、特別養護老人ホームでは、同じような仕事をされている方を生活相談員といいます。

授産施設

精神障害者授産施設は、自分で働き自活していく能力を、作業訓練を通じて身につけるための施設です。将来的にも仕事をつづけていくうえでの体力や集中力を養うことはもちろん、仲間と協力し合い、励まし合いながら作業することで、コミュニケーション能力の向上も図ることができます。作業の内容は、部品組み立てなどの軽作業から喫茶店、レストラン、お弁当の製造販売、クリーニングなど、各施設それぞれの創意工夫によって、さまざまな場が用意されています。利用期限は各施設が定めることとなっていますが、社会復帰をめざす目安としての一定の期限を設けて、必要に応じて延長するのが一般的です。

准看護師

准看護師は医師または看護師の指示を受けて、患者さまの療養上の世話や診療の補助を行う人のことです。看護師は厚生労働大臣が免許を与える国家資格であり、准看護師は都道府県知事が免許を与える資格です。

障害年金

病気やケガのために障害が残ったり、寝たきりになって日常生活や就労が困難になった場合に支給される年金です。国民年金から支給される「障害基礎年金」、厚生年金から支給される「障害厚生年金」、公務員など共済組合加入者が受ける「障害共済年金」があります。
精神の障害も障害年金の対象となりますが、受給要件の確認や申請の手続きが難しいので、病院のソーシャルワーカーなどの専門家に相談するとよいでしょう。

ショートケア

ショートケアとは、社会復帰施設や介護老人保健施設などでのプログラムに半日だけ参加することです。一日を通しての参加が難しい方、用事がある方もショートケアであれば、気軽に参加できます。

ショートステイ(介護予防短期入所療養介護)

要支援1もしくは、要支援2と認定された方を対象に、介護老人保健施設、介護療養型医療施設等に短期間入所して、入浴、排せつ、食事等の介護のほか機能訓練などが提供されるものです。本人の心身機能の改善のほか、ご家族の負担を軽くする目的もあります。個別の介護サービス計画(ケアプラン)に基づき提供されます。

ショートステイ(短期入所療養介護)

要介護1〜5と認定された方を対象に、介護老人保健施設、介護療養型医療施設等に短期間入所して、入浴、排せつ、食事等の介護のほか機能訓練などが提供されるものです。本人の心身機能の改善のほか、ご家族の負担を軽くする目的もあります。個別の介護サービス計画(ケアプラン)に基づき提供されます。

静脈注射

心臓から身体の末端に向かって血液が流れている動脈に注射をすると、薬を投与した先の部位に薬がまわります。たとえば、肘の動脈に注射をすると、その先にある腕から手に薬がまわり、そこで吸収されることになります。一方、静脈では心臓に向かって血液が流れていますから、静脈に注射をすると薬は心臓に戻り、動脈を通って全身にまわっていきます。病気の症状や必要性、用途によって動脈に注射をするか、静脈にするかは変わってきます。

心療内科

これまでの医学や医療は身体における科学的な客観性や普遍性、再現性が重要になっているため、個人のこころや社会の中にいる個人のあり方といった曖昧なことを切り捨て、身体的な疾患とその治療にだけ焦点が当たられることが多くなっていました。しかし、実際には身体とこころを分けることはできませんから、こころの病が原因で身体の具合が悪くなることもあります。そこで患者さまの身体だけではなく、こころや社会的な面を含めて人間を統合的にみていこうとする、心身医学を実践しているのが心療内科です。つまり、身体とこころを分けないで医療を行う内科が心療内科です。

【せ】

精神一般病棟

精神科の入院病棟のなかでもっとも一般的な病棟です。診療報酬上は精神病棟入院基本料として算定され、特定入院料の認知症病棟や精神療養病棟とは、配置されている看護師の数が異なります。病院によって対象とする患者さまや病棟ごとの役割には幅があります。

精神科デイケア

病院からの退院後、すぐに社会に出る自信がない、悩みを話し合える友人が欲しい、人と交流してうまくつきあえるようになりたい、生活のリズムをつけたいなどと思っている方々を対象に、昼間だけ自宅から施設に通い、趣味や娯楽、スポーツ、野外活動、料理、音楽、レクリエーションなどのほか、買い物や外での食事など社会生活に役立つ実習的な事がら、さらに話し合いなどの活動や仲間との交流を行います。就労を含め自立した生活を送る準備としての意味合いもあります。外来診療にも通い、症状によっては服薬を続けている方もいます。主としてこころのリハビリテーション的な治療の場が精神科デイケアといってもよいでしょう。なお、精神科デイケアは健康保険の適用が認められています。

精神保健指定医

精神科の患者さまのなかには、「入院したくない」「自分は病気ではないのに、なぜ入院するの?」と入院を拒みつづけている方が少なくありません。入院には患者さま本人の同意が必要となりますが、適切な治療がなされないままでいると、症状の悪化につながることもあります。
このようなとき、入院が必要かどうかを判断し、場合によっては患者さま本人の同意がなくても入院を決断する必要に迫られることがあります。その権限が与えられているのが、精神保健指定医です。
精神保健指定医は、精神保健福祉法に基づいて、患者さまの人権を保障し、かつ尊厳に配慮した精神科医療を行うことを目的にした、厚生労働大臣が指定する国家資格です。取得には医師として5年以上の経験と、そのうち精神科医師として3年以上の経験が前提となり、そのうえで所定の研修の受講も必要です。さらに資格取得後も、5年ごとに指定医研修を受けて更新することにより、質の維持を図っています。

精神保健福祉士

精神保健福祉士は精神科ソーシャル・ワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)の国家資格の名称です。精神障害者の抱える生活問題や社会問題の解決のための援助、社会参加に向けての支援活動を専門に行います。

精神療養病棟

急を要する状態から回復し症状が安定した患者さまや、長期入院による治療・療養が必要な方を対象とした病棟です。療養環境の充実のために施設要件や医療スタッフの配置人数などが決められています。診療報酬上は特定入院料の一つになります。

【そ】

ソーシャル・ワーカー

ソーシャル・ワーカーとは社会福祉士のことで、病気になったことで生じるさまざまな生活上の問題(医療費や生活費、退院後の生活、介護の必要性、社会福祉制度や施設のこと……)について解決のお手伝いをする専門職です。
また精神科で働くソーシャル・ワーカーのことを精神科ソーシャル・ワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)と呼ぶことがあります。

【つ】

通所医療

自宅や社会復帰のための居住施設から病院や施設に通い、社会生活を営みながら医療を受けることです。ちなみに、医療スタッフが患者さまの自宅に出向いて行う医療のことを在宅医療といいます。

【て】

デイケア

デイケアとは朝から夕方まで一日を通して社会復帰施設や介護老人保健施設などでのプログラムに参加することです。

デイケア(介護予防通所リハビリテーション)

介護予防を目的に、自宅で介護や療養中の要支援1、もしくは要支援2と認定された方が、日中に病院や介護老人保健施設などに通ってリハビリテーションを受けることです。一人ひとりに合わせた介護サービス計画(ケアプラン)に基づき、専門スタッフの指導のもと行われます。

デイケア(通所リハビリテーション)

要介護1〜5と認定され、自宅で介護や療養中の方を対象とし、日中に病院や介護老人保健施設などに通い、身体機能の改善や日常生活を営めるようリハビリテーションを受けることです。一人ひとりに合わせた介護サービス計画(ケアプラン)に基づき、専門スタッフの指導のもと行われます。

電気治療

身体に直接電流を流すことによって鎮痛、血行改善を行なう治療が電気治療です。腰痛など血行不良や筋肉の緊張が原因となって起こることが多い痛みの時には、電気を流すことでリンパ液や血液の流れをよくし筋肉の緊張を弛緩させるといった効果があります。

【と】

特殊浴室

寝たきりや車いすでなければ動けない、身体の不自由な人が容易にお風呂に入れるように、車いす、寝たままで入浴できる設備や入浴しやすいようにリフトなどが設置された入浴施設。

トレーニングマシーン(パワーリハビリテーション機器)

身体の動きが鈍くなったり体力が落ちるのは、筋力の低下が原因ではなく、実は、使わなくなった筋肉が増えてくることの方がより大きな原因であることがわかってきました。パワーリハビリテーションは、筋力アップのトレーニングではなく、軽い負荷による運動を行うことで使わなくなった筋肉を目覚めさせるリハビリテーションです。

【に】

入居型施設

介護や療養には、自宅で行う在宅型のほかに、施設に入所して一定のケアを受けながら自宅での生活に準じて行う方法があります。これを行う施設が入居型施設です。

認知症

認知症は「脳や身体の病気を原因として、記憶・判断力などの障害がおこり、普通の社会生活が難しくなった状態」です。
「物の名前が出てこない」「置き忘れやしまい忘れをする」「久しぶりに会った人のことが思い出せない」といった経験は誰にでもあると思います。これが単なる「もの忘れ」であれば、自然な老化によって誰にでも起こります。認知症の初期症状で最も多いのはもの忘れですが、しかし認知症の場合は単なるもの忘れではなく、通常の老化よりも早く神経細胞が消失してしまう脳の病気からくる症状のひとつです。

認知症病棟

認知症の場合、症状によっては通常では考えられないような行動や心の動きをするため、自宅や通常の施設では日常生活を送ることが困難な方に治療やリハビリテーションを施し、少しでも生活能力の改善を図るための病棟です。

【は】

徘徊

認知症の行動面の障害の一つで、合理的な判断や目的に基づかずに歩き回ることをいいます。危険な場所に行ってしまったり、自力で帰ろうとしても帰れないといったことがあるため、ひとときも目を離せなくなります。ただし、他人からは無目的に見えても、本人にとっては理由がある場合もしばしば見られるため、強引に歩き回ることをやめさせたり、引き戻したりすると、不安や抵抗を示すこともあります。

鍼治療

専用の鍼(針)を皮膚・筋肉などに刺し、刺激することで血行を促進したり、体内のエネルギーの流れを整えて病気を治療する医療です。

【ひ】

標榜

病院が都道府県に届け出をし、看板や電話帳などに記載している診療科を「標榜科目」といいます。表示してよい診療科は、法律で外科、内科、小児科、心療内科、精神科などに限られています。ただし、科目によっては身体の部位と組み合わせができるものもあります。

【ふ】

ブロック療法

痛みは一般的に自律神経の異常を引き起こします。自律神経の異常が続くと痛みが長びいたり、他の症状を引き起こすこともあります。そこで、自律神経の一種であり、緊張したり興奮しているときに優位に働く交感神経を一時的に遮断(ブロック)することで、のんびりしたときに働く副交感神経の働きを優位にして、人間が本来持っている自然治癒力により病気や症状を改善するのがブロック療法です。
たとえば、痛みの原因となっている知覚神経や運動神経、交感神経の緊張や興奮を局所麻酔剤などを投与することで緩和すると、その神経が支配している領域の痛みを断ち切ることができます。
麻酔によってある部分の知覚神経の働きが抑えられると患部の疼痛が緩和され、運動神経の機能が抑えられると筋肉が弛緩してきます。交感神経の緊張や興奮が取り除かれると末梢の血管が拡張して身体の血行が改善します。血行がよくなると、痛かった部分の酸素が豊富になって痛みが緩和され、改善していくのです。麻酔によって一時的な痛み止めをするのではなく、痛みを起こしている神経の働きを抑制する(ブロックする)ことで改善へと導いていくことをいいます。

【も】

もの忘れ

人の名前を思い出せなくなったり、いわゆる度忘れはあってももの忘れ自体は自覚している、日常生活に特に大きな支障はない状態が「もの忘れ」で、その度合いは人によって違いますが、誰にでも起こりえることで病気ではありません。たとえば、年をとると自分の体験の一部を忘れてしまうことが多いのですが、これは普通のもの忘れだと考えられます。しかし、認知症は脳の神経細胞が著しくなくなってしまい、自分が体験したこと自体をすべて忘れてしまうといった違いがあります。

【よ】

要介護

介護保険のサービスを利用するための判定で、介護が必要な状態だと判断されること。障害の程度によって1〜5に分かれています。

要支援

介護保険のサービスを利用するための判定で、現在は介護の必要はないものの、日常生活を営むことに支障があると判断されること。障害の程度によって1と2に分かれています。

【り】

理学療法士

身体に障害のある方の機能や能力障害の回復・維持・予防のために、体操などの運動療法、日常生活の基本となる動作練習、温熱・電気などによる物理療法などを、医師の指示に基づいて行う専門家のことです。理学療法士はPT(Physical Therapist)とも呼ばれ、国家試験に合格する必要があります。

リハビリテーション

身体に障害を受けた方が、社会に復帰して生活していく手段を得るために行う総合的な治療的な訓練のこと。そのためには残された能力をできるかぎり改善させ、身体的・精神的・社会的にできるかぎり自立した生活が送れるように援助することが必要になります。

療養病棟

精神科の病棟以外の一般科で主として長期の療養を必要とする患者さまのための病棟です。看護師や医師の配置、また設備なども長期療養患者さまにふさわしい療養環境を有する病床となっています。

臨床心理士

患者さまとの面接や各種の心理検査、カウンセリング、夢分析や精神分析、家族療法や芸術療法などのさまざまな療法を用いて、こころの問題を解決するための援助を行います。大学教育や臨床経験を経て日本臨床心理士資格認定協会が行っている臨床心理士資格試験に合格すると臨床心理士と認定されますが、現状では臨床心理士の資格は国家資格ではないため、臨床心理士資格がなくても心理療法士、心理判定員、カウンセラーなどの職につくこともできます。

ロールプレイ

SST(社会生活技能訓練)などにおいて、患者さまの生活上のさまざまな問題点を改善するため、想定された対人場面で本人に実演してもらうことです。実生活での具体的な場面を設定し、患者さま自身が本人の役を演じ、対処の仕方を学び、段階的に習得してきます。
例えば就職の面接で自分のことを思ったように話せないでいつも失敗してしまうという悩みがあれば、就職面接という場面を設定して、自分から進んで自己アピールしてみるという課題のもとに、実際に本人に実演してもらうわけです。
こうした訓練では問題点や欠点の修正も大切ですが、良かった点を全員でほめることも重要です。引っ込み思案で自信をなくしがちな患者さまにとって、ほめられ、認めてもらえるという体験はたいへんな励みになり、新しい課題に前向きに取り組んでいくきっかけにもなります。